カイの安堵

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自分の事を拒んではいないと感じ取ったカイは、ヒンニィをこれ以上傷つけない様に、穏やかに、ゆっくりと様子を伺いながら慎重に話しかける。 ヒンニィは視線を下に向けたまま、無言で小さく首を縦に振る。 それを確認したカイは、ほんの少し安心した様に小さく息をつくと、目の前のヒンニィの表情をじっと見つめてみる。 実に、約2年ぶりに実際に目に映る愛しい女の子の姿は、自分の中の記憶よりも想像以上に大人びて見えた。 しかし、先程まで泣き腫らしていた余韻で目が腫れているのに気がつき、自責の念に囚われてしまう。 ズキリと胸の痛みが襲ってくるのに、深呼吸をして落ち着かせてからカイはゆっくりと口を開き始める。 「まさか、ヒンニィがヤタネスクに来てくれるなんて思ってもいなかった。…ごめんね。何を言っても言い訳になってしまうのは、わかってる。」
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