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カイはそう告げると、掴んだままの右手の力をまた少し強めた。
その力強さに、ヒンニィはピクリと反応して顔を上げてカイへと翡翠色の視線を送る。
未だに真剣な表情のままのカイのダークブラウンの瞳と目が合い、ヒンニィにもその緊張感がひしひしと伝わって来ている。
「…俺を軽蔑してもらって構わない。殴って気が済むなら、殴ってもらってもいい。…それでも俺は、君に許してもらえるなら…。君を傷付けてしまった代償は、なんだって受け入れる。」
カイの確固たる覚悟を聞き、ヒンニィは胸が詰まる思いになりながらも、ゆっくりと瞬きをしながら小さく首を横に振った。
「…そんな物騒な事、言わないで。カイは何も悪くないわ。」
緊張感をほぐすような、ヒンニィの柔らかな声がカイの耳へとスッと届く。
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