第十章 五頁

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目が覚めた時はどこかの屋上だった。 不運なことにへりこぷたーの着陸の衝撃で 意識が戻った。戸惑いからは覚めないまま コクトー様に腕を引かれてへりこぷたーを 降りた。頭痛がひどい、二度と乗らない。 心の牙を剥き出しにしてへりこぷたーという 謎の乗り物を睨み付けた。 初めて見たときは形がかっこいいと憧れ、 はしゃいだものだがそんな気持ちは空へと 飛んでいった。 へるめっととさんぐらすを被った操縦士は テキパキと四角いカバンを降ろしていく。 へりこぷたーに干渉しない位置にピシッと 二つ並べ終えると青年の腕を掴んだままの 主へ頭を丁寧に下げた。 それから皮肉のように微笑んでみせた。 「よい思い出作りを!」 そうして彼らは空に帰って行った。 へりこぷたーの羽がウイウイ動くと衝撃で その場に尻もちをついてしまう。 ご主人様が掴んでいなければ屋上の外まで 華麗に吹っ飛んでいた。ああ怖すぎる。 「………。」 「さて、と行くか。」 ポカン…と口を開けた青年の腕を引いて 強制的に立ち上がらせた。 次は器用に腰を抱いて崩れる肢体を支えると 思い切り、情熱的なちゅーを唇にかました。
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