生命の宿り『前編』

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生命の宿り『前編』

「なるほど!だから、椿は天海先生と出会ったんだな。でも、よく異世界に来れたよな〜!」黒竹姫は、腕組みしながら椿の話を聞いていた。天海先生もうなずいて、「そうだったんですね。深刻な様子だったのですぐに医者の本能が出てしまい、救うという形になりました。」「あのまま放って置くなんてしたくなかった。」椿は顔が赤く染まった。あの時そんな思いで助けてくれたのかなんだか恥ずかしさが、思わず募った。竹林の中に入るとマイナスイオンがあってとても涼しい。都会と住む世界が違う。これが自然の力なのだろうか?自然の恵みがあってこそ人間と共存出来る事、忘れてはいけない。白竹姫は、「それで、椿は何をさがしてここにやってきたの?」「あっえっと。かぐや姫をさがしてるの。」椿はしっかり目を見開いた。「そうねっ!いるわよ。でも、何分の1の確率で生まれてくるからなかなか困難だわ」「私たち竹姫達が、妖精の誕生を管理しているのよ!だからメンデルの法則をご存知かしら。独立・優勢・分離の3つの法則からなるの。メンデルは、その実験をエンドウで試したわ。」ここでは、かぐや姫を育成できる体験ができるから椿もやってみるといいと思うよ!ただし、かぐや姫を早く見つけないとね〜ヒントは、生まれてくる竹からは、レインボーに光輝くからそこが、目印になると思う。私たちは、他の妖精達に用があるから、先に行っているわね!!!じゃあ分からないことがあったら黒竹姫に聞いてねよろしく♪白竹姫は精霊の所へ猛スピードで羽ばたいて行った。        ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ それからというものの天海先生とペアで椿はかぐや姫を探し続けた。なかなか竹林が深いところで、自然の香りがほのかに香る。「先生!見つかりましたか?」「まだですよ。椿さん。」「なかなか山登りに慣れていなくて、ちょっときついです。」「頑張ってください!後で美味しいもの奢りますから。」 それ関係ないと思うと天海先生は感じた。「まぁ僕も、一応幼い時、卓球部に入部してたので、それなりの運動神経はあると思います。」「それは、頼もしい・・・。」幼い時にタイムスリップして先生の少年時代を見てみたいと思った。黒竹姫は「なにやってんだよ!かぐや姫見つけるんだろ〜!!」「そんなラブラブ姿見せられても困るんだけどな。」「早くしろよ!」と言い羽を羽ばたかせていた。先生は、光の方向に向かって探し始めた。椿も同様に見つけようとしたが、なかなか見つからない。靴の中に土がこんもり、服はドロドロの状態。もう無理かと思ったと時に先生が「あっ!2時の方角に虹みたいな光が見える!」「えっ本当?」と椿が、「ちっ、見っけたか!」黒竹姫は呟いた。みんなが一斉にレインボーに輝く1本の竹に集まった。「どうするの?黒竹姫??」と椿が聞き、「どうするもこうするも後はかぐやの話通りだ。竹を割るんだよ!」本当大丈夫かな?内心思っていたが、椿の力では、竹を割ることができない為、男である先生の力を借りてどうにか竹を割ろうとしていた時だ。自然の主の声が聞こえた。「何をしている?____わしはこの竹林の主だ。伝説のかぐやを奪おうとしておるじゃろう!お前に育てられるのか?証明出来れば授けてやろう。」かぐや争奪戦が幕を開けようとしていた。
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