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全ての始まり
____今では記憶が朧げな春のことだった____
ベージュのブレザーに身を包み、入念に髪の毛のセットをする。
色つきリップを塗って、まつげを少し上げて、頬にパウダーをはたいて…。
「これでよし、と」
鏡の中で私──桜井鈴菜は柔らかな笑みを浮かべた。
正直言って私は可愛らしい容姿をしていると思う。色素の薄い目と髪の毛。白い肌に長くカールしたまつげ。
まるでお人形さんのようだ。
この見た目があれば新しく始まる高校生活も今までみたいに余裕だと思っていた。どうせ人なんて外見しか見てない。人生なんて簡単なもんよ、ずっとそう考えていた。
_______________あなたに会うまでは
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