犯罪の手前側

第１章 少女側の何か

気を取り直し、凍える少女を目の前に、何をすべきかを考える。私は、目の前の獲物がどっかに逃げてしまわないように接近する狩人のような気持ちで、少女に近づいた。

「ぇっと〜、こんにちは」

私がそう声をかけると、彼女は一言も口に出さずただ下を向いていた。

「寒いんじゃないかい？これ着たらいいよ」

私はそう言って自分の上着を脱いで、少女に着せようとした。すると、彼女は「やめてっ」と私の手を払い、再び下を向き始めた。