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けれどそんな祈りが通じたのか、あれだけ騒がしかった音が急にピタリと止んだ。
終わっ……た? わたしは布団の中から這い出ようとする。しかし、
キィィィ……。ゆっくりと部屋のドアが開かれた。
逃げ場のない恐怖に、溢れ出る涙を拭うことも出来ず、ひたすら息を殺すことしか出来なかった。
ペタ、ペタ、ペタ、ペタ、音が段々と近づいてくる。
やめて……お願いだから……。ほら大好きな猫缶ならそこにあるから……。お願いだからどこか行って──!
ドスンッ! 重みのある衝撃がわたしにのしかかる。
とうとうわたしは逃げ場を無くした。そして布団の隙間からジィッとこちらを見つめる目と目があった。
その目はわたしの知っている愛猫のものではなかった。
わたしが目を覚ますと外は明るくなっていた。……気失ってたんだ。変な体勢で寝てたからか体が痛かった。
傍に置いてあるスマホは月曜日を表示していて、そろそろ起きないと会社に間に合わない時間なりそうだったけど、正直会社に行けるような気分じゃなかった。でも起きないと。
ゆっくり体の痛みをほぐしながら体を起こす。
なんだったんだろ昨日の。ふと部屋のドアを見ると閉まっていた。ああやっぱり夢だったんだと思った。
昼間から嫌な夢見たなぁって思ったのも束の間、わたしは凍りついた。
ローテーブルにあった牛丼と猫缶が食い荒らされていたからだ。
夢じゃなかった夢じゃなかった夢じゃなかった!
わたしは力無く再びベッドに横たわると、わたしのものとは明らかに違う長い髪を見つけた。
間違いない。この家には確かになにかが“いる“。
わたしはすぐにこの家から出ようと決めたこれはそんな出来事だった。
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