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ある冬の夜の話
これは俺が小学生の頃の話。その日は冬の寒い夜だった。ついでに選挙番組のせいでどのチャンネルも同じ選挙速報しか放送していなかったこともあり、ものすごく退屈していた。そこで気を利かせてくれた母親が俺を車で10分ほどのところにあるレンタルビデオ屋に連れて行ってくれた(そういやレンタルビデオ屋ってほとんど見なくなったなぁ)
行きつけのレンタルビデオ屋で俺はよく借りていたアニメ(たしか、みかん絵日記だったと思う)と母親は自分のみたい映画を何本か選んで会計を済ませた。
さて帰ろうかとすると、車の様子がおかしい。どうやら車を駐車する際に車止めに引っかかったか何かでタイヤがパンクしてしまったようだった。ただすぐに気づいたおかげで近くにある学校の敷地でタイヤ交換をすることに。
冬の日ということもあって外はとても寒く、外にいるだけで指先がかじかんで痛いほどだった。ただ幸いなのは中学校の敷地は除雪されていたおかげで作業自体はそれほど苦労しなかった。といってもほとんど母親が作業しているのを眺めていただけだが。
冷たさにたまに手を止めながらどうにかタイヤ交換を終えた。そして立ち上がったその時だった。
ドサッ!
母親の背後にあった木に積もっていた雪が母親の頭上にクリーンヒットした。それを見て俺は思わず大笑いしてしまった。
……そこから母親は家に着くまで口を聞いてくれなかった。
そりゃ寒い中タイヤ交換して終わったと思ったら頭の上に大量の雪が降ってきて、それを息子に笑われたらそりゃあ機嫌だって悪くなりますよね。当時はなんでお母さん怒ってるんだろう……と不安になってたけど、この年になったらまぁ親だって人間だしなぁと思うようになったそんな話。
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