遺言

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遺言

 この間ネットで見た話なんだが、親の介護をしていた姉には一切の遺産を遺さず、何もしていない弟に全ての財産を遺すというなんとも言い難い内容の記事があった。他にも優秀な兄に全ての財産を遺し、弟には印鑑代として少しだけの金銭と共にただ一言、何も言わず判子を押せというものまであった。  と、遺言と聞くとこのように財産を誰々にといったものを想像するだろう。ドラマなんかでも財産を巡って骨肉の争いだとかをテーマにした話も多い。とはいえこれはドラマだったり上流階級の話でしょ? と言いたくなるかもしれないが、案外一般家庭でもこう言った話は多く、夫や妻が突然亡くなり遺品整理していると思わぬところから多額の預金が入った通帳が出てきたり、反対に多額の借金が出てきたりと以外にも身近な話だったりする。生憎と今のところ俺にはそのどちらも関係なさそうなので気にしなくてよさそうだが(それはそれでどうかと……)  さて、そんなちょっとやらしい話から始まったわけなんだが、今回話したいのはそんな骨肉の争いの物語ではない。『遺言』についての話をしようと思う。  遺言の一つの例として遺産などの話を出したが、そもそも遺言というのはそういった金銭や財産のことだけを指すものではない。あくまで遺言というのはこの世を去る故人の最期の言葉、言い換えれば残されるものたちへの手紙のようなものだ。内容も感謝であったりずっと秘密にしていたことを最期だからとカミングアウトしてみたりとこれも様々だ。いっそ知らない方が良かったよ!? という話もあるがまた話が脱線しそうなので割愛。  このように遺言一つとっても色々ある。そこで今回はある男性が体験した遺言にまつわるお話をご紹介しよう。自身の母が彼らに遺した最期の言葉。果たしてそれはどのような想いだったのだろうか。それではどうぞ。
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