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俺が持っているイメージというのは俺が寝ているパイプベッドの下から長い黒髪の服装は白いワンピースを着たドリンク剤とかビールのCMに出ている某女優にそっくりな女性がこちらをじっと見つめているイメージだ。
俺がイメージと言い張るのには訳がある。俺はそれを自分がこの目ではっきりと見たわけではない。知らない間に頭の中にそのイメージが紛れ込んでいたのだ。夢を見ていてたまたま覚えていたのであればそれは夢だと言い切ることが出来るんだろうが、残念ながら俺はそんな夢を見たことがない。じゃあこのイメージはなんだ? これを書いてる今でもそれは謎のままだ。
俺はそんなイメージを抱えている。だが、それを彼女に話したことはない。もちろん友人にすらだ。それに俺の家が不可解な現象の塊だということも話してはいない。
なのに彼女は“見た”と言う。それなら間違いなく彼女はそこに“いる”のだろう。
その日は結局、眠ることも出来ずそのまま朝を迎えた。
次の日友人たちは当初の目的どおり親戚の家を訪ねるということもあって俺の部屋から離れた。正直、あんなことがあったばかりだ。出来るだけ離れたいというのもあったのだろう。俺にはそれが残念であったが、同時に友人たちのことを思えば安心もしていた。
しかし、そんな思いを持っていても昨日の今日で不安が拭えるわけもなく、その日俺は親しい友人二人を部屋に呼び込み、眠れない夜を過ごすための犠牲者もとい協力者として泊まってもらうことにした。
最初は急な話だと二人して笑っていたが、昨日あったばかりの事情を話すとその顔から笑顔がプツリと消えた。
どうやら二人の話を聞くと、以前からこの家には何かあると気付いてはいたが、それを口に出せば俺が不安がるからということで黙っていてくれたらしい。友人二人の心遣いは大変ありがたかったが、出来れば状況を考えてほしかったというのが本音だ。
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