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俺と荒波翔子はファミレスに入りテーブル席に着いた。
「私はチーズインハンバーグとライスで…蒼介さんは?」
「俺も同じのとフライドポテトを頼もうかな…」
荒波翔子はテーブルの呼び出しボタンを押した。
オーダーを済まし店員が俺達から離れた所を見て
俺は荒波翔子の目を真剣に見つめた。
そして
「俺は…飯を食ったらまた昇仙峡に行き…飛び降りるからな!」
俺はチンケなプライドではあるが、男が一度言った事は最後位やり抜きたい気持ちであるのだ。
荒波翔子は水を少し啜り、コップをそっと優しくテーブルに置きゆっくりと眼を一回瞑った
「そう…生きたくないだの死にたくないだの泣いてたけどできるのですか?貴方に…」と言い終え荒波翔子は目を見開き視線を俺に向けた。
「そっ…それは…」
俺は参った事に反論出来なかった。
「要するに…生きて行くのが不安なんだ!わかりました!」と荒波翔子は閃いたかのように一回手を叩いた。
俺はカチンときた。
「何が分かるんだよ!俺はどうしようもなくクズなんだぜ?生きててもしょうがない…」
俺はカチンとは来たが話の途中で虚しくなった。
自殺をしたいなんて怒って言える事ではないよな。
それに対して荒波翔子は無言だ。
二人のチーズインハンバーグとライスがテーブルに運ばれて来た。
俺は言葉こそなかったが、両手を合わせ荒波翔子に軽く頭を下げてから空腹が故にそれらに食らいついた。
胃が突然の出来事で驚いているが、これはこれでいい刺激だ。
美味い!美味い!それ以外に必要な言葉なんてない。
荒波翔子はゆっくりと召し上がっている
ただ、微笑ましそうに俺を見ているのは確かだ。
「美味しいですか?」と一瞬にしてチーズインハンバーグとライスを食い尽くした俺に荒波翔子は聞いてきた。
「あぁ…美味かった…ご馳走さまです…」
なかなか死ぬと言っている手前元気よく話す気にはなれなかった。
「うふふ…」荒波翔子は笑っている。
「何がおかしいんだ?」
「幸せそうに食べていたから…なんか嬉しくて笑えて来ました。」と荒波翔子は可愛くまだ笑っているのだ。
余りにも可愛いから俺は荒波翔子を直視出来ず窓に顔を向けた。
窓には涙を流している俺の姿が写っていた、それを見て初めて自分が泣いていることに気づいた。
「なんで…俺は泣いているんだ?」と俺は荒波翔子の顔をもう一度見た。
荒波翔子は優しく俺に白いハンカチを差し伸べてきた。
「違う…そんなんじゃない…しまってくれ…」断るも俺の視界は揺れていた、涙によって揺れていた。
もうなんだか止まりそうにないようだ、断りはしたが俺は気づくとその白いハンカチで涙を拭っていた。
「ありがとう…ありがとう…」
思わず言葉も零れる。
「蒼介さん!生きる覚悟を決めてください!」
と荒波翔子は強く俺の心に響く様にそう言ったのだ。
「下らない理由で辛いけど…何とかなるかな?」
初対面の相手に聞くような事ではないがどうしようもなく今の俺は自信がないのだ。
「大丈夫です!貴方は白いパンツを選ばれたので白の戦士になりチート級の力を手に入れております。分からない事があればサポート役の私が何とかします。」
なんで…このタイミングでその話なるんだ?
ちょっと事務的だし…
涙も止まり俺はその訳の分からない話をしっかりと聞く覚悟を決めた。
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