凶感 ～キョウカン～

郊外の為か、
近隣にはコンビニのように気楽に入れる施設もなく、
目についたのは小さな児童公園だった。

辺りは寒い季節だからか、
それとも噂になっているウイルスのせいか、
人の気配はあまりなかった。

何よりもとりあえずトイレに向かった朔耶は、
手入れもあまり行き届いていない、薄暗く汚い個室に籠った。
今どき少ない和式のトイレだったが、
そんなことを言っている場合ではない。
幸いにも壁にはフックがついており、
鞄やコートは床に置かなくてもよさそうだが、
そもそもこの壁すら綺麗かどうかはわからなかった。