心に愛を

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 幼馴染の結婚式に参列した。その華やかな雰囲気の中に溶け込む、一番の主役は紛れもなく花嫁なのだろう。しかし、心橋には幼い頃からよく知っている友達の、一人前の男になったという纏う自信に何よりも目を奪われた。  白いレースのベールに、胸元が強調された白いドレスは、両肩、両腕の生肌と連なって煌めき眩しい。  結婚式は、女の人生で一番美しいと言われる。ならば、その女の隣に立つ男の誇らしげな顔はさらに見目麗しいのではないか。  堂々とした表情からは、泣いてばかりいた頼りない幼馴染の面影はなかった。  立派になったものだ。  どこか親のような目線で、心橋は何度も、何度も、賛辞の言葉と大きな拍手を送った。  ありがとう、ありがと広ちゃん。照れたように、幸福だと目尻を下げる男を見て、素直に羨ましいと思った。  広ちゃんも、そろそろだよね。心橋は、迷わず首を縦に振ったのを覚えている。
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