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ひときわ明るく光る瓶を取り出して家に帰りました。
子供たちはすやすやと寝息を立てて寝ています。
マーサは子供たちを起こさないよう足早にキッチンへ向かうと弱火にかけていたお鍋を覗きました。
湯煙の中、シチューがコトコトと煮えているのが見えます。
にんじんもすっかり火が通ってやわらかそうです。
そこに瓶のコルクを開けて中身を注ぎます。
トプトプと淡く黄金に輝く夕日がシチューに溶けていきます。
まあ、なんて美味しそうな匂いがするんでしょう。
長男のサイモンもその匂いにつられて起きてきました。
「お母さん」
「はいはい。お腹が空いたのね。
だけど、もう少しでお父さんが帰って来るからそれまで我慢して」
わかったと返事をするとサイモンはまた眠りにつきました。
マーサは瓶にきっちりとコルクをしてそれからこの残りの夕日を何に使おうか考えました。
パンケーキにかけるのも良いし、コーンスープに入れても良い。
だけどやっぱり1番はガトーショコラかしら。
水無月さんからいただいた金色乙女草の花の蜜が隠し味のガトーショコラには負けるけれど、夕日の入ったガトーショコラは私の1番の得意料理なんだから。
お鍋はコトコト、寝息がすやすや、外では風がビュービュー。
もうすぐ、雪が降るのかもしれません。
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