勇者のきらめき

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勇者のきらめき

「とてつもなく強大で邪悪な念を感じるわ」 巫女であり伝説の戦士プリキュアでもある安奈姫花はかつてない強大な邪気を感じた。 姫花と妖精ミコルンを乗せた御殿神輿が邪気の発生している地点へ急行している。 御殿神輿には姫花と一緒にプリキュアの力を受け継いだ天王寺衣鞠も一緒に乗っている。 「げげっ、何よあれ」 目撃した恐ろしい光景に衣鞠も姫花も言葉を失う。身長50㍍、いや、それ以上はあろうかという巨大な邪鬼が暴れているのだ。邪鬼が巨大な金棒を振るうと暗黒の炎が大地を焼き尽くす。 「これが滅亡の邪鬼。一度暴れれば世界を暗黒の炎で焼き尽くし滅亡させる邪鬼か。見事なものだ」 この世界を最悪的に終わらせようとする妖魔バッドエンドの幹部ホロボスはその凶悪な暴れっぷりを楽しそうに見守る。 「望みどおり滅亡の邪鬼を甦らせてやった恩義、決して忘れるでないぞ」 黒い着物を纏ったプリキュアのような姿の暗黒の戦士が氷のような冷たい目でホロボスに笑いかける。 「ちょっと、あんなのとどうやって戦うのよ。巨大化できるスティックとか巨大ロボとかないの?」 衣鞠はダメもとで言ってみるが、 「そんなのはないミコ。伝説の戦士プリキュアは敵がどんなに強大でも怯まずに勇猛果敢に戦って世界を守る戦士だミコ」 とミコルンにあっさりと言われてしまった。衣鞠が突拍子もないことを言うものだから姫花は目をパチパチとさせている。 「やっぱりふたりじゃダメか~。5人いないと巨大ロボは出ないか~」 「な、何よそれ。そういう問題じゃないと思うけどな・・」 姫花はどんな発想だと唖然として目をパチパチさせる。 衣鞠は歴女であると同時に特撮オタクでもあるのであった。 「こっちだってプリキュアになりたてなんだから、いきなりあんなのに来ないでほしいけど、とにかくやるしかないわね」 衣鞠が変身したキュアヒストリーと姫花が変身したキュアストーリーが滅亡の邪鬼の前に降り立った。 「あれは・・」 ふたりが降り立つと小さなふたりの猫耳の女のコが邪鬼に光線を放って戦っていた。しかし光線は全然効いていない。巨大な金棒がふたりを目掛けて叩きつけられる。 「危ない」 間一髪でキュアヒストリーとキュアストーリーは小さな女のコたちを連れて飛んだ。 「なんてムチャなことを・・・」 「滅亡の邪鬼が現れたら戦って封印するのがわたしたちの使命だから・・」 ふたりは滅亡の邪鬼と戦い、封印する宿命を与えられた妖精あや猫とこと猫だった。 「大丈夫だよ。その戦いはプリキュアが引き受けるから」 キュアヒストリーとキュアストーリーはあや猫とこと猫を避難させると滅亡の邪鬼に立ち向かう。 しかし、あまりに巨大な敵には成す術もなく防戦一方になる。 邪鬼が金棒を叩きつけると大地は暗黒の炎で焼き尽くされる。暗黒の炎はプリキュアも襲って、何とかかわすので精一杯だ。 「あんな小さな妖精だって戦ったんだから負けるワケにはいかないわよ」 「よしっ、一気に決めよう」 キュアヒストリーとキュアストーリーは頷き合って手を繋いで必殺技を出すべくエネルギーを高める。 「輝ける歴史」 「ときめく物語」 「プリキュア、シューティングレジェンド」 ふたりはついに強大なエネルギー波を放つが、邪気もまた強大な暗黒の炎を放った。 「きゃああ~っ」 暗黒の炎はふたりのプリキュアに炸裂して吹っ飛ばした。 シューティングレジェンドもまた邪鬼に炸裂して邪鬼は姿を消した。 「姫様~っ、衣鞠~っ」 ミコルンは泣き叫びながら相討ちという形で姿を消したプリキュアを探した。 泣き叫ぶ声が虚しく山の中にこだまする。
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