勇者のきらめき

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「ううっ」 かなりの手傷を負って気を失っていた衣鞠と姫花はあや猫とこと猫に助けられていた。 「ひどい怪我だ」 「治そう」 あや猫とこと猫は呪文を唱えて治癒魔法でふたりの傷を治して回復させた。 治癒魔法はかなりのエネルギーを消費するのかあや猫もこと猫もまるで魔法が解けたみたいに猫の姿になった。 「すっかり元気になったわ」 「ありがとう。助けてくれて」 衣鞠と姫花は猫を抱いて撫でてあげた。 「滅亡の邪鬼はまだ滅んでいないわ」 「今度現れたら間違いなく世界は暗黒の炎に焼き払われて滅びてしまう・・」 あや猫もこと猫も衣鞠と姫花の腕の中でぶるぶると震えている。 「今度現れたらわたしたちが使命を全うして世界を守らなくちゃ」 あや猫もこと猫も恐怖に震えている。使命を全うするということはその身が滅びるということなのだ。 あや猫もこと猫も滅亡の邪鬼から世界を護るために神様が創り出した妖精の末裔だった。妖精が邪鬼に飲まれて体内でその身を燃やし尽くすと邪鬼は体内から全身が炎に包まれて焼滅する。邪鬼を倒すにはそれしか方法がないのだという。 話を聞いて衣鞠は握った拳を地面に叩きつける。あちこち一面が焼き払われた地面が改めて邪鬼の恐ろしさを物語っている。 「ごめんね、不甲斐ない戦いしかできなくて。でも、今度は絶対に負けない」 衣鞠の瞳が激しい決意に燃える。 「昔はあなたたち妖精がその身を犠牲にして世界を護ってくれた。でも、今はあたしたちプリキュアがいる。プリキュアは絶対に歴史を繋ぐし」 「物語も終わらせない」 姫花もまた決意に燃えて衣鞠に拳を重ねる。 「でも、あの邪鬼の力はありえないぐらいに強大で恐ろしいわ。どうする?」 「あたし、バカだからさ、真っ向勝負でただ勝つことしか思いつかないんだ。だから姫花は小さくても巨大な敵に勝てる作戦を考えて」 「小さくても巨大な敵に勝つ・・衣鞠、あなたの発想力はやっぱりスゴいよ。イマリネーションとでも言えばいいのかしら」 と姫花は衣鞠に笑いかける。どうやら策が浮かんだようだ。 そして、何か勘違いをしてダメな時もあるけど、伝説をあっさりと塗り替えて姫花もプリキュアにしちゃったような突拍子もない衣鞠の発想力を何て言えばいいのかずっと考えていたのだが、イマリネーションという言葉が今思い浮かんだ。 「イマリネーションか。ステキな言葉をありがとう。今度は絶対に負けないよ」 「うん」 笑顔で拳を重ね合わせる衣鞠と姫花に希望の光を見てあや猫とこと猫にも笑顔が戻った。
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