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部屋から出てくる彼女の気配が全く無い。
男二人は仕方無くキッチンに戻り椅子に腰をおろした。
「俺が迂闊だった。みつるの姉だと名乗られた時は知り合いだと言ってしまったが、
彼女はここに逃げてきたとよく考えれば判ることだった。彼女を辛い目に合わせた。」
「後ろめたいことは何もしてないし、姉だと言われたらこの家に通すのは当たり前だよ、隠すほうがおかしいでしょ。ナオキが自分を責めることじゃない。」
少し間をあけて浩哉が話を変える。
「ところでさ。」
「何?」
「ナオキはみつるにタトウーがあることは知ってた?」
「…ああ。彼女がシャワーから出てきた時に見えたことがある。ヒロも知ってたのか。」
「彼女、隠そうとしなかったから。僕も見つけていたこと、直樹には言わなかったけど、今思えば敢えて見せて、何かを伝えようとしてたのかと思って。」
「…分からない。けどヒロは驚かなかったのか?」
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