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「落としましたよ。」
彼女は自分が落とした絵を拾い集めるより先に手帳を拾い上げて少年に手渡してくれた。
乱れた髪を手でかき上げ耳にかける仕草が似合う美少女だった。
少年の落とした手帳には自立支援と印字されている。読まれたくない文言だった。
少年はそれを受け取るが、すぐ表紙を裏返して長椅子の自分の隣に置いた。再び俯く。
「勝手に触って悪かったかしら。それ。」
少女は自分のばらまかれた紙を拾い集めながら少年に話しかけた。綺麗な花のイラストだ。
「…いえ。」
少女からの問いかけにはそれ以上は応じずに、彼も絵を拾い集めるのを手伝った。
けれど普段は無口な少年が絵を見つめるうちに口元が緩んだ。
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