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「お礼なんて、本当にいいんです。仕事ですし、当たり前の意見の一つです」
「うん、そうだよね。そう言うと思った。正直に言うとさ、それも勿論あるんだけど仕事のことなんだ。ごめんね」
正直になんて、一つも言っていないくせに。
サラリと涼しい顔をして言う自分に、朔太郎は呆れていた。
海はというと、『仕事』と言ったことで明らかな安堵の色を見せる。
それは悲しいけれど、一目瞭然だった。
「カフェに入れるソファなんだけどね、実物見に行きませんか。この後ちょうど行こうて思ってたから、どうかなと思って。この間、座面の高さとか悩んでいたでしょう」
また嘘を吐く。
この後に行こう、だなんて思っていなかった。
それでも、時間が出来たら実物をと思ってはいたのだから、大きな嘘ではない。
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