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目的地までは、電車で三十分くらいか。
その間、朔太郎はどう過ごすかまでは考えている。
携帯で画像検索を掛け、先ずは一つのソファを彼女に見せた。
「こんなのはどうかな」
「素敵な色ですね。何色って言うんだろう。黄緑?」
「うぅん、何だろうな。萌葱色かなぁ。萌える、に葱って書く……」
「へぇ。でもいいですね。葱もきっと販売しますし。綺麗な色。物知りなんですね」
「あぁ、いや。僕、美大に行ってたので」
褒められた照れ隠しにそう答えた。
ただ、そんなことは海は知っていること。
答え方を間違えたか、と思ったが、彼女は何も言わず、ぽかんとしたままこちらを見ていた。
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