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「そうだった……やだ」
まるで忘れられていたようだ。
彼女はそれが余程面白かったのか、腹を抱えて笑うのだ。
今度は朔太郎の方が目を丸くするが、結局は『知っていて当然だった』という事実に二人笑うだけ。
そうなればもう、自ずと二人の距離は縮まっていった。
店まで二人並んで歩き、目に入るカフェや試食会のメニューの話をしてみる。
手を繋いだり、腕を絡めたりしていないだけで、それはまるでデートのようだ。
彼女がどう思っているのかは分からないが、少しでもあの頃を思い出せばいいのに、と思っていた。
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