第一章

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 翌日になり、甲高く鳴り響く目覚まし時計の音に布団の中をもぞもぞと這う。シーツに埋めた顔は上げられないまま手を伸ばして手探りで目覚まし時計を止めた。  起きないと……隆久が待ってる。  このまま二度寝をしてしまいたい気持ちに言い聞かせて、どうにかシーツに両手をついてぐっと力を込めて上半身を起こす。重たい頭がグラリと揺れるのを感じながら、しょぼしょぼと瞬きをする。 「眠い……」  起きたばかりで霞む視界を移せば、概ね予定通りだった約束の十分前だ。目覚ましはスマホで三十分前、目覚まし時計で十五分前に掛けてはいたが、我ながら起きたと思う。  コンコンと窓をノックする音が聞こえた。この部屋、どこかに監視カメラでもついてるんじゃないだろうか。鈍い頭でそんな事を考えながらベッドを降りる。 「今行くから」  欠伸を噛み殺しながら窓へと移動してカーテンを開けた。すると、待っていた隆久は既に私服へと着替えていた。  移動できるのは隆久ぐらいだから鍵を掛けていない窓を開ける。 「おはよう」 「おはよう。起きれたみたいだな」  隆久が入れるように横にズレれば、中に入ってきた隆久に褒めるように頭を撫でられる。その感触に益々眠たくなったが、ぐっと堪える。  手が離れぼんやりと突っ立ている中、隆久は早速とクローゼットへ移動して素早く服を選ぶと俺の元へ戻ってくる。 「着替えだ」 「ありがと……」  目を擦り、ボタンへと手を掛ける。背を向ける隆久を見ない振りをして寝間着を脱ぎ、雑に地面へと落とす。
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