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学校からずっと僕と一緒だった石が、強く蹴りすぎたのか、道をそれて空き地の草の中に入ってしまった。もう家につくっていうのに。
僕はそれでも石が消えた草の中をのぞきこんでみた。相性のよかった石はもう見えない、でもかわりにおかしなものを見つけた。
それは青くて首の長いツボだった。胴体はぷっくりとふくれている。
そう、ちょうど僕がよくやるテレビゲームに出てくる、魔法のアイテムのツボみたいなやつね。たいていそういうのには「かいふくやく」とか入ってて、体力が元に戻ったりするんだ。
それは草の中にあったにしてはぴかぴかしてちっとも汚れていなかった。
ツボには栓がはまっていた。ママが時々飲むワインの栓みたいなの。
ゲームで回復薬が手に入ったらどうする? 僕はすぐに開ける。だって戦士はいつだって体力勝負だもの。
だから僕はその栓を開けちゃった。
ボンッ!
栓を抜いた途端、大きな音がして、僕はツボを取り落とした。目の前に青い煙の固まりがあった。煙はもやもやもくもくと僕の前で動いて。
そして。
「ああ、やっと出られたぜ」
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