1人が本棚に入れています
本棚に追加
「色々種類があるので今日は見学だけでも結構ですよ」
「色々な種類?」
「ええ、今から案内するので、自分の目で見て確かめて下さい」
通路を歩き、その先にあるエレベーターに乗る。エレベーターも白かった。蛍光灯は青白かった。
エレベーターの階を示すボタンは、○△□などという記号になっていて、それが実際何階に相当するのか分からなかった。
そもそも、自分が今何階にいるのかも分からない。
男は、上から四番目の■のボタンを押した。
一番下から数えると七階ということになる。
疑う余地は多分にあるが、それしか今の僕には分からない。
■の階に到着して降りると、そこは何かの作業場になっていた。
部屋のフロアをぐるっとベルトコンベアが丸く囲んでいる。
その周りを一緒に来た主任風の男と同じ服装の人が、びっしりと取り囲んでいる。
男も女もいたが比率は分からない。そして年齢も様々だった。
「ここが組み立てと解体の作業場です」と主任風の男は言った。
「これから作業時間になりますので、隅で見ていてください」
そう言われたので、部屋の壁によりかかりながら作業を眺めることにした。
ベルトコンベアの上には、凹と凸の形をしたブロックがびっしりと並んでいる。
スピーカーからけたたましいブザーが鳴ると、ベルトコンベアが回り始めた。
すると、組み立て役だろうか、一人が凹と凸のブロックを噛み合わせた。
そして、その隣には解体役だろうか、一人が噛み合ったブロックを外した。
その隣にはまた組み立て役の人がいる。
これが交互に並んでコンベアを一周している。
一体どういう事なのだろうか? 組み立てては崩してを繰り返しているだけだ。
この作業に意味があるようには見えない。
最初のコメントを投稿しよう!