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目を覚ますと朝の7時。 もう会社に行かなきゃいけない時間だ。 急いで、トーストをオーブントースターに入れて、軽く焼いてからピーナツバターを塗って食べた。 すぐにコーヒーで胃に流し込み、着替えを済ませてから部屋を出ようとした。 不意に、棚の上にある記念写真の中の彼女が目に入った。 ついつい、じっくり眺めてしまう。 美しい笑顔に惹かれながら、「行ってきます」と告げて、慌てて部屋を飛び出した。 会社には何とか朝礼に間に合い、僕は何食わぬ顔をして冷静に自分の席についた。 今日も慌ただしい一日になることだろう。 実際、そんな一日だった。 仕事が終わり、今日も帰り際に、あの僕のタイプの後輩OLが、また飲み会に誘ってきたが、どうしても用事があると告げて、何度も謝りながらやんわりと断った。 「無理言ってなんかすいません。でも実は先輩のファンが同期にいるんですよ。だから、いつか1回くらいは参加して欲しいんですけど」 「うん、わかった。ゴメンね、今日は本当に」 そう、やんわり告げてから、真っ直ぐ家に帰った。 家の中の、ダイニング席で、この間のお見合いの時に何故かお土産としてホテルから貰ったシャンベルタンのワインを飲んだ。 中々美味しい。 でも、そんなにお酒に強い方じゃないので、すぐにウトウトしてきた。 「ちょっと飲み過ぎなんじゃないの?」 彼女が微笑みながらそう言った。 「そうかな?元々さ、あんまり強い方じゃないんだよ。だからすぐ酔っ払っちゃうんだよ」 「まあこのワイン美味しいからね。飲みすぎちゃう人がいても不思議じゃないけど」 「だよね」 「それに…」 「うん?何?」 「うん…今日には相応しいワインかも」 「え?どういう意味?」 「うん…」 「意味わかんないんだけど」 「…うん…今までありがとう。本当に感謝してる」 「何?何よ、何何?」 「うん…ちょっとね、私、遠くに行くことになったから…」 「え?どっかに旅行?」 「うん…そんなようなものかも」 「遠くって、海外とか?」 「遠くは遠くよ」 「へえ…まあせっかくの旅行なら楽しんできてよ」 「うん…。今まで本当にありがとうね」 「え?ああ、うん…」 何故か彼女は寂しそうな顔をしていた。 僕は彼女を訳もわからず、ただ黙って見つめていたが、やがて彼女はいきなり、空に舞い上がっていった。 「ちょ、ちょっと!何?!」 あまりのことに、空に舞い上がっていく彼女を、ただ驚きながら、唖然として見送ることしか出来なかった。 何が巻き起こったのか、全くよくわからなかった。 でもそれが、 彼女との、 別れの瞬間だった…。
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