俺は証拠を突きつけた!

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 残業していた妻が帰宅した。  俺は笑顔で出迎えた。 「食器洗ってあげたよ」 「これとこれ、あと、これも洗い直してくれる? まだ汚れが残ってるから」  妻はカゴをひと目見ただけで言った。  たしかに残ってるけども、そこは大目に見てくれよ。 「掃除機もかけてあげたよ」 「そこの綿ぼこりも片付けてくれる?」  妻は部屋の端を指した。  本当だ。よーく見ると、小さいのが2、3個転がっている。  でも、これくらいは許容範囲じゃね? 「洗濯もしてあげたよ」 「干した通りに乾くからね。シワはできるだけ伸ばしてくれる?」  なんだよ、いちいち文句つけやがって!  残業で疲れてる人間なのに、なんでそんな観察眼が鋭いんだよ!?  ハッ!  さては残業してない!?  じゃあ何してた!?  男だ! 男と会っていたに違いない!!  俺の情報網をなめるなよ!?  すぐさま伝手で証拠を手に入れた!  後日。  例のごとく、残業を言い訳にして妻が帰宅した。  こういう時は勢いが大事だ。相手にひと息つく暇を与えるな!  俺は1枚の写真を突きつけた。 「これを見ろ!」 「合成」  妻は普通に言った。  なんで動揺しないんだよ!!  妻と他の男が並んでいる写真だぞ!? 「背景がぼやけてる。自分の都合のいいように編集したんでしょう? ここにカメラマンが写っているのがわかる?」  妻が指したのは、写真内の瞳の部分。  今のカメラは解像度が高いから、瞳孔に写っているものもわかる。  肉眼ではよくわからないけど。 「あなたが写したのよ。町内会の集まりの時に」  妻はそう言って写真を出してきた。  町内会の集合写真。  くだんの男も写っている。 「私は、あなたの記憶力と注意散漫なのがすっごく心配だわ」  妻はあきれていた。
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