お前の脳みそ酢漬けにしてやる!

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 その時、僕は思い切り叫んでいた。 「お前の脳みそ酢漬けにするぞ!」  そのセリフに、吐いた僕はもちろん、相手も意味が解らずにフリーズした。その場の空気が凍り付く。 「解説します。殺して脳みそだけ取り出して、酢漬けにするということです」  誰もそんな説明は求めていないのに、僕のパソコンから間抜けな解説が流れた。おかけで、場の空気の氷はなんとか溶ける。 「そんな脅しってアリ?といか、ホルマリンじゃなくて酢漬けって……いずれ食う気?」  僕に謎のセリフを投げ掛けられた相棒のユーキが、この解釈であってますかと、手のひらを差し出して聞いてくる。僕は、今さらそれが咄嗟に出た、お前を止めたい一心で放った言葉だと言えなくなる。 「そ、そうだよ。ホルマリンなんかに漬けて永久保存するわけないじゃん。お前のその変な人工知能なんて、設計したお前の脳みそを酢漬けにして食って徹底的に消してやる」  整合性のあるセリフを必死に捻り出し、僕はえっへんと胸を張った。それに、ユーキはうげぇっと舌を出す。 「君にそんなマッドサイエンティストな発想があったとは、ビックリだよ。ただのパソコンバカだと思ってたのに」  そして失礼な一言を宣ってくれた。誰がパソコンバカだ。お前の方がバカだろうに。
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