8.豪族

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 あの日、神はマフとコフ、ロフ、ビフ、そして初陣となるグフ、ゾフ、バフを連れて町の裏門からすぐに出発していた。追い返した使節が戻る前にゴーリキーの町に潜入し、男たちは流れ者を装って入隊。さらには豊富な資金にものを言わせて、ゴーリキー側の兵をせっせと買収していたのだった。  神自身は踊り手に扮して市場に隠れていた。ゴーリキーを裏切った最初の300人が戻ったところで姿を現し、兵を従えて役所とゴーリキー邸を占拠したのであった。ゴーリキーに恩義のある役人は山吹色の手土産で黙らせた。  ・・・・・・こうして南の町もヤーマダー家の手に落ちた。町には新たな学校が設けられて、職の無い者と奴隷にも教育が施された。神は校長としてしばらくは生徒たちの勉強を見てやったが、優秀な生徒を新たに教師として抜擢すると、旧ゴーリキー邸に籠って酒浸りの日々に戻った。「酒に対し、まさに歌うべし」であった。
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