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両親ともオカルト系は苦手だ。怪奇現象だの都市伝説だのを持ち出すと、くだらないと瞥見さえしない。
多感の時期であった私にとって彼らの規制は煩わしいと思う面であった。だから、綾くんの能力を披露したところで期待した反応は返ってはこないだろう。
それに、彼を悪目立ちさせることになる。それが尾を引いてしまえば逃亡生活の意味もなくなる。彼の立場上、リスキーなところが多いのでメッセンジャーは諦めよう。
となると、結局『あれ』しか残らなくなる。『あれ』はメッセンジャーよりもリスキーだし、成功率も極めて低いし、足がつきやすい。やめておこう。最初に出た案だったが、掘り返しても採用は難しい。
「ああ、もう。面倒くさい」
真面目に思考する私に綾くんは焦ったそうに頭を掻いて、
「顔で言わずに口で言えよ、『私の身体を探してください』ってさ」
と、彼を思って引っ込めた案を、彼が自ら提示してきたのだった。
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