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 ……本当に私は、彼に頼ってもいいのだろうか。身体を見つけたいけれど、彼を危険な目に遭わせてしまうのではないのだろうか――そうなっては彼の祖父母に申し訳がたたない。 「気にすんじゃねえよ」  祖父母に目が向くように、『川』の三画目辺りに横臥する綾くんは静かな声で言った。 「寝たんじゃないの」 「寝ようとしていた」 「じゃあ寝なよ。明日は学校だよ?」  いや、もう日を跨いだ時分だから『今日』か。 「ああ、寝るよ。だからお前はさっきみたいに俺の前にいろ。後ろに立たれたら気になって眠れない。俺とばあちゃんの間で横になれと言ったのはそのためなんだぜ」  これほど格好のつかない『そのためなんだぜ』は聞いたことがない。 「立ってはいないけれどね。私も寝そべってるよ」  幽霊が見えるからこそ――その目線を感じれるからこそ生じる悩みか。 「どっちでもいいよ、そんなの。揚げ足をとるなよ」 「うん、ごめんね」  つい反射的に謝ってしまう。 「……どうした? 怖気づいたのか?」  そんな私に度胸の度合いを訊いてきた。  察するに、綾くんが心配りしているのは、身体探しを依頼したことだ。 「怖気なんてついちゃいないよ。お辞儀したいくらいだよ。ただ、私はどうしても理解できないところがあるんだよね」 「理解できない」 「そう、理解できない。いや、きみのトラウマも相当だけれど、それ以上に子供だからこそ知りえない解釈が私の中で燻っているの」 「なんだよ、それ」  綾くんはモゾモゾと、私のほうを向いた。 「綾くんはそれでいいの? って話」 「つまり?」 「つまり、リスクはあるし捜索できる範囲も限られているし、広範囲を捜索できたとしても警察も手を焼いている案件だから難易度は相当高いはずじゃない。それにも拘らず私に手を差し伸べてくれるってどういうこと?」  私がそう訊ねると、しばしの沈黙――とは反対に、何の迷いもなく速攻で即答した。 「それはさっきも言った通りだ。同情してるんだよ、お前に。それに、お前はクラスメイトだ。会話の機会は確かに少なかったけれど、放っておけないだろう――ここで放っておいたら、俺に酷い仕打ちをした大人と同じになるからな。お前がノーと断れば俺は懇願してでも身体探しをさせていた」
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