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 それでも納得いかなかったけれど、これ以上の追求は無粋かと目を瞑った。 「そっか、綾くんってお人好しだったんだね。てっきり私の家族への配慮にかこつけて、探偵ごっこだと、ゲームをするように楽しむのかと思ったよ」 「俺のイメージどんなんだよ。こえーよ。そんなサイコパスじゃねえよ」  まだ互いをよく知らないから、変な印象があることは否めないんだよね。 「……でもまあ、身体を見つけたとして、生まれた姿そのままであることは諦めろよ」  と、綾くんは忠告する。 「死体に防腐処理を施して展示するようないい趣味の奴が犯人でも、内臓は全て取り外されているだろうし。まあ、大体は腐りきって原型を留めない姿で発見されるからな。一週間くらいともなるとDNAの破損が甚大だから、発見された死体がそもそもお前のかすらしばらくは判別されないと思うぜ」 「それは覚悟しているよ。どんな姿形であれ、両親のもとに帰れればそれでいいんだよ」  たとえ『姿形がなくなった』という結末を迎えたとしても、私は受け止めようと思う。ただ、立ち直りの早いメンタルでもしばらくは引きずりそうだ。 「私からも言いたいことがあるんだよ」 「なんだよ」 「無茶しないでね。危険だと思ったら引き返してちょうだい。きみまで死んだら、それこそあなたのじいちゃんばあちゃんに面目がたたないからさ」 「……心得ておくよ」  こうして綾くんとの秘密の一夜が幕を閉じた。
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