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 だけどここから探し出して、果たして身体は見つかるのだろうか。私がこの眼で――暗闇でもよく見えるこの両の目で――隈なく見渡したのに見つからなかったのだから、かなり難しい気がする。幽霊に朝昼夜は関係ないと言っていたように、視界の明晰度も夜と大して変わっていないから見つけられる気がしなかった。  が、現場百遍。諦めないで双眸を瞬かせればなにかを発見できるかもしれない――昨夜は見落としていないと思っていたけれど、実はそうではなかったのかも。  あのときは焦っていたもんなあ。急いては事を仕損じるとも言うし、落ち着いて、人手を増やした今の状態で捜索すれば奇跡は起こるかもしれない――昨夜と違い、眼は二倍となったのだから探索範囲も二倍なのだから、奇跡が起こる確率も二倍になっている。 「おい、川原」  と、私の名を呼ぶ声がした。たとえ今この町の住民が全員集合したとしても、こうして私を手招きできるのはこの綾麗夜くんだけだ。彼のもとに駆け寄る。そして、彼がそうしているように私も隣にしゃがんだ。 「見てみろ」  地面を指差した。私は彼のその指先を追う。地面に向けられたそこにはお金が落ちていた。 「……五円玉?」  神社にはお似合いの硬貨である。五円とご縁をかけた霊験あらたかな駄洒落だ。それは誰もがご存知であろう。十円だって、さらに五円がありますようにという意味があると聞いたことがある。かあさんも、十全な人生でありますように、なんて願掛けして十円玉を賽銭箱に入れている。  その十円玉も付近に落ちていた。 「百円玉も……」  そして一円玉もあった。一円から百円の硬貨はまばらに、しかも大量に落ちていた。地面に置き去りにされたそれらを繋げると、直線ができあがようだった。昨日は気づかなかった。身体探しで夢中になっていたからだろうか。  私達は落ちていた金額を辿り、全て確認した。 「合計四百四十八円。どうしてここに」  綾くんはそう呟く。点在しているお金の種類の割合で一番多かったのは十円玉と一円玉であった。十円玉と一円玉はそれぞれ繰り上げる分はあった。  確かに疑問である。神社に投げるお金の行く先は普通賽銭箱じゃないのか。ここ、栗ヶ矢神社の正面にもそれがあるのになんでこっちのほうに……。投擲のスピードが足りずに風に煽られて雑木林に落下したってことなの?  いや、そんなわけあるかっ!  思わずひとり突っ込みした。台風でもない限り、そんな現象は起こり得ないはずだ。
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