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「次の方、お入りください」
「はい」
「28番さんですね」
「はい」
「結論から言います。今回は、辞退した方がよろしいかと思います」
「何故ですか! 3ヶ月も前から、私はこの為に準備してたんですよ!!」
「落ち着いてください。これから理由を説明いたします」
「納得のいく理由でお願いします」
「まず、死亡理由ですが」
「交通事故です。不慮の死はポイントが高いと聞きました」
「でも、交通事故ですよね、それも普通の自家用車とぶつかった」
「それが何か」
「不慮の死というには、それだけでは弱いんですよ。まあ、病死や老衰よりはポイントは高いですけど」
「だって、応募要項には」
「確かに、交通事故でもポイントはつきます。
しかし、それは小学生の通学途中や一家全員助からなかったなど、あまり起こらず、かつ悲惨である場合です。
アナタの場合、ただの信号無視ですよね。しかも、アナタの」
「はい」
「それでは、あまりポイントはつきませんね」
「そんな」
「ちなみに、不慮の死で高いポイントが与えられるのは、戦争に巻き込まれる、殺人事件の被害者になる、呪いに巻き込まれるなどですね」
「そんなの絶対無理じゃないですか」
「いえ、意外と多いですよ。世界規模で見れば。
つまり、アナタのような平凡な死亡理由の方など、星の数ほどいるのです」
「うっ」
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