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 鈴を鳴らすような音が聴こえてきて、僕は一寸(ちょっと)のあいだ足を止める。気のせいだと思いたかったのだ。じっと耳を澄ましていると、寒いはずなのに汗が噴き出そうな感覚がする。  きこえない、大丈夫。  きこえない、大丈夫。もう歩いてもいいだろうか。  確かめるように一歩、踏み出す。そのときまた、“彼女”は鳴った。  ちりん………。
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