3.

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 僕は走っていた。妖精の羽音から遠ざかろうと必死に逃げていたけれど、途中石に躓いて転んでランプをだめにしてしまったから、真っ暗な道はうんと過酷になって僕の行く手を阻んだ。  灯りがなければ妖精を見てしまうこともないんじゃないかって期待したけれど、鈴音はずっと聴こえていて、振り返るとほんのり明るい。“彼女”自体が光源なんだ! 知ってしまってからは絶望的な気持ちになりながら、這うようにして先へ進む。ああだけど、あの灯りが妖精なら、僕はもう妖精をみつけたことにならないだろうか? じゃあ、もしかして、もう既に心をくりぬかれてしまっていて、何か知らないものを埋め込まれているのでは? 未知がこの身を蝕む恐怖に震えながら、ひたすらに先を目指していた。どこに行こうというんだろう。僕はもう、ひとではなくなってしまったかもしれないのに。
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