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笑い終わった後、悠がまた真剣な表情をした。
「あのさ、颯人にちゃんと言いたいことがある」
改まったようなその態度に、俺も少し背筋が伸びる。
「この前の一件があってから、俺もう一度考え直したんだ。颯人のこと」
「…」
「無理矢理して、嫌がる颯人の顔を見てその…なんというか、萎えたんだ。心が手に入らないんなら身体だけでもって思ったけど、それは間違いだった」
俺は何も言葉を発せない。俺もしっかり悠と向き合う時だと思ったのだ。
「颯人って、颯人ってさ。本当に可愛いんだよね。顔だけじゃなくて内面もなんだけど、守ってあげたくなると同時に、虐めてやりたくもなる」
「なんだそれ」
「ごめんね、でも本当だよ。それでさ、あの日の颯人の嫌がる顔を見て、すごく守ってあげたくなった。酷いことをしているのは他でも無い俺なのに、たとえ抱くことができても颯人にこんな顔をさせてしまうのは辛かった」
「…」
「俺は…颯人の心が欲しい。嫌がる颯人の身体は奪えない」
そう言うと悠は俺の方へ少し距離を詰めた。
「だから、だからさ…心から颯人への想いをもう一度伝えたい。気持ちを受け入れてもらえるまで、もう絶対にあの日みたいなことは颯人にしない」
そして氷室は俺の手をとった。
「だから、もう一度。もう一度颯人に告白してもいいですか」
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