自覚

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「頼りにしてるんですね、その従兄弟のこと」 俺がいうと遊佐先輩は困ったような顔をする。 「本当はあまり頼りたくないんだけどね…俺自身の問題だし、何よりあいつは怖い」 「年下なのに?」 「年下でも俺より優秀だから怖いんだよな。…負けたくないけど」 そう言うと遊佐先輩は少し黙ってしまった。少し深入りし過ぎただろうか。遊佐先輩の家は名家だし、センシティブな話題だったかもしれない。 少し反省していると、俺のそんな様子を感じ取ったのか遊佐先輩は明るく笑った。 「まあまあそんな話は置いといてさ、俺が買ったケーキ食べてよ。もうみんな好きに選んでるよ?」 そう言われてケーキの方を見ると、半分以上のケーキは無くなっていた。 「ああっ、いつのまに!」 甘いものが好きな俺は少しショックを受ける。狙ってたケーキが既に取られてしまった。 そんな俺の様子を見て遊佐先輩はクスクス笑う。 「蒼井は相変わらずだね…。そういえば、いつかの恋人ごっこは楽しかったよ」 「あっ…その節は、どうも…」 あの時の気まずい空気を思い出す。 旧校舎の出来事を、その後遊佐先輩が聞いてくることはなかった。 だけど。 あそこまでしてもらったのだから、俺と悠のことを話しておくべきだと思った。 何もかも隠して協力だけしてもらうのは、むしが良すぎると思ったのだ。 そしてこのことを誰かに相談したいという思いもあった。
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