2415人が本棚に入れています
本棚に追加
ってそれどころじゃない。こんなざわざわしたら雅樹に気づかれてしまう。早く去らねば。
「あのっ、俺そろそろ…」
「えーもう少しお話ししましょーよー」
「そうだよ。雅樹の家での様子聞かせて?」
まずい離してくれない。そうこうしていると向こうから友達と話しながら雅樹がやって来るのが見えた。
「すいません、もう帰ります!」
少し強引に輪から抜け出した。そのまま走ってプールを出る。
失敗した。雅樹の兄だなんて言うんじゃなかった。バカだ俺。この様子だとあの人たちは雅樹に俺が来たことを言ってしまうだろう。仕方がない。家で問い詰められたら謝ればいいや。ってか何で身内の俺が来ちゃいけないんだ。
プールから逃げるようにして走るとまた迷ってしまった。広すぎるんだよこの高校‼︎
やばいって。早く帰らないと。
ここはどこだ?迷路なのか?
ウロウロしていると突然視界が真っ暗になった。
「だめだよこんなところに一人でいちゃ。ここは怖いところなんだから」
パッと視界が明るくなる。俺を目隠ししていたのは氷室だった。
「氷室…」
「どうしたのこんなところで?」
「お前こそ休日なのに」
「俺は生徒会の副会長だから。色々あるんだよ。それより蒼井はどうしたの、俺に会いに来たの?」
そう言って氷室は蕩けるような顔で笑った。何故か俺を後ろから抱きしめている。
「いや弟を見に来たんだ。それより苦しい…」
「いいじゃん。蒼井なんかいい匂いするし。なんかつけてるの?」
「別に何も。お前こそなんかいい匂いする」
「ん、気に入ってくれた?嬉しい。この香水毎日つけようかな」
こいつ距離感近くない?こんなキャラだっけ。
最初のコメントを投稿しよう!