自覚

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部室で遊んだ後、打ち上げでファミレスに行って軽く食事をした。話せば話すほど思い出は浮かんできて、キリがなかった。 しかし楽しい時間は早く流れる。 気がつくと時計は5時を少し過ぎており、空がうっすらオレンジに染まっていた。 悠との待ち合わせ場所のカフェに6時に着くには、そろそろ出たほうがいいだろう。 「悪い、この後用事があるんだ。ここで抜けさせてもらうわ」 そう言うとみんなが俺を見て「おう!また会おうな!」とか「さみしー、もう帰るのかよ」と言う。 確かに名残惜しいが、悠のところに行かなければならない。みんなにひとしきり手を振ってその場を離れる。 出口の重い扉に手をかけると、後ろから肩を叩かれた。振り返ると、同じ長距離でよく面倒を見ていた後輩の進藤が立っていた。 「おう、どうした?」 にっこりと笑いかけると、進藤は顔を下向きにしてモジモジしながら話しだした。 「蒼井先輩、あの…自分、先輩のことを本当に尊敬してて…!」 「うん」 「誰よりも綺麗なフォームで走るところとか、丁寧にアドバイスしてくださるところとか、あげたらキリがないんですけど…最後にどうしても感謝を伝えたくて…」 進藤は人一倍、俺に懐いてくれた後輩だった。苦しくても、こいつが応援してくれて励まされたことも何度もあった。 「俺もお前に感謝してるよ。今までついてきてくれてありがとう」 「…っ、自分は先輩みたいになりたくて、なかなか難しいんですけど…先輩と同じW大に行きたいんです。大学でも一緒にまた走りたいです!」 「俺もだよ」 「自分は先輩とちがって推薦がないので一般で受けるしかないんですけど、がんばります…!」 そう言って進藤はくしゃっと笑った
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