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「おう、待ってる」
そう言って俺は進藤の背中を軽く叩いた。これ以上ここにいると涙が出そうで、進藤に軽く手を振ってファミレスを出た。
…ほんとに、終わったんだな。
ぼんやりと駅へと歩き出す。後ろを振り返ると、楽しい思い出がたくさんある。
しかしこれから俺が歩む道は真っ暗だ。何も見えない。大学生になっても走り続けることは間違い無いのだが、不安は沢山あった。
だから今日、悠に会いたいというのもある。悠も俺と同じ気持ちでいるのか気になった。悠なら、暗闇でも俺の手を引いてくれる気がした。
だが大学生になったら、俺と悠の関係は何か変わるのだろうか。
そもそも友達から恋人になったとしたら、何が変わるのだろうか。
もしかしたら、悠も変わってしまうのだろうか。きっと俺は何も変わらないままなのに、俺を置いてってしまうのか。
暗い不安や疑問ばかりが脳内をぐるぐると回る。
早く悠にあって、「そんなことないよ」「大丈夫だよ」って言って欲しかった。
いろいろ考えているうちに、約束のカフェに着く。悠はすでに着いており、扉を開けるとすぐに俺に気づいて手を振った。
いつもと変わらない、優しい笑顔だった。
悠の座るテーブルへ向かい、腰をかける。
「ごめんな、待った?」
「ううん、今来たところ」
そう言うと悠はクスッと笑った。
「なんだよ」
「ふふ、別に。なんかカップルみたいな会話だなと思ってさ」
悠の呑気な発言にキョトンとする。
でもいつも通りの悠で、安心している自分がいた。
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