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そう思ってジュースを持ってソファーへ戻る。悠は俺をじっと見つめて待っていた。
「今日は何時までいる?」
「んー、別に迷惑じゃなければ何時でも」
「じゃあもう泊まってきなよ」
「それは…雅樹が家にいるから…」
「…だよね。無理言ってごめん」
と言いつつ、悠が泊まりに誘うのは三度目だ。よっぽど俺に泊まって欲しいのか。でも泊まったら最後、なんか嫌な予感がするからいつも躱していた。
「そうだ、颯人。気になってた映画がプライムで見れるようになったんだ。今から見ない?」
「いいな、見る見る」
まあ昼間に遊ぶ分には大丈夫だろうと思って、頻繁に悠のマンションに来てる。趣味も性格も合うから、一緒にいること自体は楽しいのだ。
「ただこれホラー映画なんだよね。颯人はホラー得意?」
「…あまり、得意とは言えないかも」
そう言うと悠は俺の手をギュッと握った。不意に掴まれてドキッとする。
「実は俺もあまり得意じゃないんだ。でもこうして手を繋いでいたら安心しない?」
安心っていうか、ドキドキして落ち着かない。そう思っていると、悠は普通のつなぎ方から恋人つなぎに切り替えた。
指同士が密接に絡み合う感触に生々しさを感じる。
「ね?、怖くない」
「う、うん」
結局俺は流されるように、悠と手を繋いだまま映画を見た。最初は手を繋いでいるだけなのに、最後はやっぱりテディベアのように抱きしめられた。
悠は俺の腰や腹を怪しい手つきで撫でる。それも緊迫したシーンで撫でるから、下手に声が出せない。
ゾクゾクして、声が出そうになるのを必死に堪える。
「…っ、ん…ふ…」
太腿を撫でまわされ、手が段々股間に近づいてくる。
「…っあ、…や、やめ…」
『キャアァァァァ‼︎』
微かに出た声は、ハリウッド女優の悲鳴に掻き消された。
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