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氷室は俺から離れない。寧ろ手つきがどんどん怪しくなっているような…?
すると突然首筋に鼻を近づけられた。
「あ、ここが一番いい匂いする」
「ひあっ!」
やめろ!そこで話すな!
「ひあ、だって。かわいい」
「もういい加減にしろ!」
ちょっと怒ったように言うと氷室はパッと手を離した。相変わらず氷室は笑っている。
「冗談も程々にしろよな」
「はは、ごめん少しからかいすぎたね。怒らないでよ」
「いいよ別に。慣れてるっちゃ慣れてるから」
俺の言葉に氷室の眉がピクッと動いた。
「慣れてる?」
「弟がじゃれついてくることがよくあるから。昔からそうなんだ」
「ああ弟…。水泳部のエース君だっけ」
「そうそう。今日は雅樹の記録会を見に来たんだ」
俺は氷室に入校証を見せつけた。
「もう帰っちゃうの?」
「まあな。記録会も終わったし」
そうすると氷室は少し考えるような仕草をしてからにぱっと笑った。
「じゃあ少し遊んでいきなよ」
氷室はそう言って俺の腕を掴んで引っ張る。結構力が強い。
「いやでも俺部外者だし」
「入校証も持ってるし、今日は休日だし、俺は副会長だし大丈夫」
「そっか副会長なのか」
「そうだよ。かっこいい?」
「お前優等生っぽいし、似合うなとは思う」
「それだけ?」
「うん」
俺が頷くと氷室は少し残念そうな顔をした。
「…まだまだ俺の努力が足りないんだね。まぁいいよ、これからだし」
そう言うと不気味に笑った。これからって何がだよ。
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