2399人が本棚に入れています
本棚に追加
悶々としながら帰り道を歩く。
なんか、悠といけないことをしてる気がする。まだ想いがはっきり固まっていないのに、こんな近くでベタベタしていいのか。
生煮えで中途半端な俺が思わせぶりな態度を取ったら、悠に失礼じゃないのか。
優柔不断な俺が嫌だった。
少なくとも俺の気持ちがはっきり固まるまで、悠とあの距離感は不味い気がする。
それに…怖い。少し。
あの日の夜みたいなことにはならない…と、信じたいけど。悠も俺が受け入れるまであの日の夜みたいなことはしないって言ってたし。
だがあの日の夜がわずかにトラウマになっているのは確かだった。
無理矢理奪われるかもしれないと、自覚した時の恐怖心。それは例え悠相手であったとしても怖かった。
だって俺は男だ。誰かに抱かれる性別じゃない。なのに抱かれるかもしれないという恐怖。
悠と付き合うってことは、そういうこともするかもしれない…いや、きっとする。
キスはもうしてしまったけど。悠とのキスに不快感はなかった。じゃあ性行為も大丈夫かと言われれば違う気がした。
俺より体格が大きな悠に組み敷かれたら、きっと怖くて震えてしまう。あの日の夜もそうだった。
でも俺は悠を嫌いになりたくない。悠を恐怖の対象にしたくない。けどこれ以上悠のスキンシップが過激になると、俺は悠に恐怖を抱いてしまいそうだった。
だから、少し距離を取ろう。ランニングはするけど、悠のマンションに行くのは控えよう。
きっとそれが悠のためでもあり、俺のためでもある。
この時は、本気でそう思っていた。
最初のコメントを投稿しよう!