自覚

21/47
前へ
/188ページ
次へ
家に帰ると、既に雅樹が晩ご飯を食べていた。相当げっそりとした顔をしている。 「お帰り」 元気のない声で俺に言った。冷凍のチャーハンをモソモソと食べており、とても美味しそうには見えない。 「…なんか、すごく疲れてるな。大丈夫か?」 「んー、いま色々部活がめんどくさいことになっててさ」 「それってどんな?」 「部活の引き継ぎっていうか…、仕事分担というか…。役員決めが上手くいっていないというか…」 役員決め…か。 確かにもめることではある。とくに雅樹のような強豪で、部員も多い部活だと尚更だ。仕事も多いし、強豪を率いるリーダーシップが求められる。 「三年生は夏に引退するのに、その時に引き継ぎはしなかったのか?」 「うちの部活はちょっと変でさ。三年生卒業の時期に本格的に引き継ぎとかするんだ」 「ふーん」 「特に…マネージャーとかね。けっこうやること多いから誰もやりたがらなくて」 マネージャーか。うちの部活の場合、部員で全て仕事は回していたからマネージャーがいなかった。けど雅樹の部活は事情が違うのだろう。 「もー、ほんとに参るよ。マネージャーがいないと殆ど回らない仕組みになってるから、このままだとマジで不味い…」 「マネージャーやってくれる人がいたら取り敢えず大丈夫なのか?」 「まあ取り敢えずのところは…。でもいないんだよな」 俺も雅樹と同じ学校だったら紹介してやれるんだけどな。 雅樹のマネージャー問題に解決の目処は立つのだろうか。
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2399人が本棚に入れています
本棚に追加