自覚

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愛の告白のような熱烈な言葉に変な気持ちになる。 でも雅樹はいたって真剣なようだった。 「…大丈夫だよ、なんとかなるって思ってるから」 俺の言葉に雅樹は手を離した。 「あっそ。あーあ、俺はもう疲れたから寝る。兄貴も学校がないからってあまり夜更かしすんなよ」 「はいはい、お前は母さんかよ。おやすみ」 雅樹は手をヒラヒラ振って寝室の奥へ消えた。 俺一人がリビングに取り残される。急に家が静かになり、沈黙がやけに重く感じた。 悠といることは…紛れもなく楽しい。知り合ってからそれほど時間は経ってないけど、密な時間を過ごしてきた。「親友」とも言える関係だけど、きっと悠は「親友」という枠に収まってくれない。 恋人になったら何をするんだろう。何が変わるんだろう。 最近そんなことばかり考えている。 今の関係に、性的な要素が加わるだけ?互いの身体で気持ち良くなりたいだけ? だとしたら、なんてくだらない関係なんだろうとすら思ってしまう。 そういう経験がなかった俺には、性的なことに関してぼんやりとしたイメージしかなかった。むしろ考えれば考えるほど陳腐なものに思えた。 俺たちって、そんなくだらない関係じゃないだろ。 でも心のどこかではわかってる。 俺は本気で人を好きになったことを、愛したことがないからよくわからないのだ。きっと何も知らないからその先へ踏み出すのが怖いんだ。 お前と一緒にいれるなら、それだけでいいのに。 もうそれで十分で、何も望まないのに。 この曖昧な関係に名前をつけないと、俺たちは一緒にいられないのだろうか。
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