2399人が本棚に入れています
本棚に追加
愛の告白のような熱烈な言葉に変な気持ちになる。
でも雅樹はいたって真剣なようだった。
「…大丈夫だよ、なんとかなるって思ってるから」
俺の言葉に雅樹は手を離した。
「あっそ。あーあ、俺はもう疲れたから寝る。兄貴も学校がないからってあまり夜更かしすんなよ」
「はいはい、お前は母さんかよ。おやすみ」
雅樹は手をヒラヒラ振って寝室の奥へ消えた。
俺一人がリビングに取り残される。急に家が静かになり、沈黙がやけに重く感じた。
悠といることは…紛れもなく楽しい。知り合ってからそれほど時間は経ってないけど、密な時間を過ごしてきた。「親友」とも言える関係だけど、きっと悠は「親友」という枠に収まってくれない。
恋人になったら何をするんだろう。何が変わるんだろう。
最近そんなことばかり考えている。
今の関係に、性的な要素が加わるだけ?互いの身体で気持ち良くなりたいだけ?
だとしたら、なんてくだらない関係なんだろうとすら思ってしまう。
そういう経験がなかった俺には、性的なことに関してぼんやりとしたイメージしかなかった。むしろ考えれば考えるほど陳腐なものに思えた。
俺たちって、そんなくだらない関係じゃないだろ。
でも心のどこかではわかってる。
俺は本気で人を好きになったことを、愛したことがないからよくわからないのだ。きっと何も知らないからその先へ踏み出すのが怖いんだ。
お前と一緒にいれるなら、それだけでいいのに。
もうそれで十分で、何も望まないのに。
この曖昧な関係に名前をつけないと、俺たちは一緒にいられないのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!