自覚

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そしてまた悠との約束の日になった。 いつも通りクタクタになるまで走って、芝生の上で休憩する。 座り込んでぼんやりしていると、頬に冷たいものが触れた。びっくりして見ると、それはよく冷えたサイダーだった。 「今日もお疲れ。これ、俺の奢り」 爽やかな笑顔で悠が俺にサイダーを手渡す。喉が乾いていたのでありがたかった。 「ありがとう。今度俺も何か奢るよ」 「いいって、俺が颯人に奢りたいだけなの」 そう言うと悠は同じサイダーをゴクゴクと喉に流し込む。サイダーのCMにも使えそうなくらいイケメンで、様になっている。 一気に飲むと悠は「ぷはっ」と軽く漏らした。こういうところがイケメンのくせにかわいい。 「ところでさ、今日もうちくる?」 もはや俺がイエスと言うのを前提に聞いてる口調である。ワクワクと仔犬のような目で俺を見ている。 「あー…ごめん、今日は用事があるから…」 俺がそう言うと悠はあからさまに残念そうな顔をした。少し罪悪感が湧く。 「そっか…じゃあ次は?次は遊べる?」 「最近ちょっと忙しくてさ、走ることはできるけどいつ遊べるかは分からない」 「えっ」 「まあ走ることはできるしさ、お互いこれからも頑張ろうよ」 俺の言葉に、悠の目から光が無くなる。 「…やっぱ俺といること嫌だった?」 「え?」 「男のくせに、告白してきたやつと一緒にいて気持ち悪かった?」 悠の表情がどんどん暗くなる。 「そんなわけ…ないだろ」 「いいんだよ、颯人の目を見てたらなんとなく分かるから。前からそうじゃないかなって、薄々思ってた」 悠の言葉を否定したかった。でもできなかった。 俺自身、自分の本当の気持ちが分からなくて、確証がなかったから。 でも悠からそんなふうに言われるのは、何故かとても哀しかった。 「そんなこと…言うなよ」 「…ごめんね。俺、もう帰る」 そう言うと悠はあっという間に駅の方へ消えて行った。
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