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悠の後ろ姿を見ながら、何か悪い予感を感じた。
スタスタと去る悠の後ろ姿はやけに儚げだったのだ。今にも消えてしまいそうな。
俺はまた、何か間違えたのだろうか。
自己嫌悪が止まらない。
でも、俺は自分が信じることをした。性的な接触は悠のためにも、俺のためにも避けたかった。
だが先ほどの悠の悲しそうな顔が頭から離れない。どうしてそんな顔をするんだよ。俺と一緒にいるだけじゃダメなのか?触らなきゃ気が済まないのか?
分からない。
どうしようもなくてどこにも寄らずに家に帰った。
雅樹は当然家にいない。ひとりぼっちだ。
今の俺は、どうしようもなくひとりぼっちだ。
自分を想ってくれる人を自分から突っぱねて、どうしようもない馬鹿だ。勝手に孤独になって泣いてろ。
気持ちはどんどんヤケになる。
こんな状態で悠とはとても会えなくて、悠との練習の回数を減らした。代わりに一人だけで走ることが多くなる。
今日この日も一人で走っていた。俺一人の息遣いが静かな道路に響く。
一人は辛いけど、安心する。
自分にも他人にも失望する心配がないからだ。
いつもならやらないほどペースを上げる。この際ヤケクソだ。壊れるなら壊れてしまえ。
ガンガン上げると、俺は気づくと普段とは違う路地に入っていた。だが見覚えがある路地だった。
もしかしてここって…。
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