未知の男子校

6/10
前へ
/188ページ
次へ
「遊ぶって何すんの」 「そうだなぁ…」 氷室は少し考える仕草をする。 「あ、生徒会室行こう。とりあえず。あそこなら一般生徒入らないし今日は役員も居ないだろうし。二人で遊ぼ?」 「俺なんかが入っちゃだめだろ。怒られるよ」 「俺の紹介だし大丈夫。行こう」 そのまま引きずられるように生徒会室に向かった。休日とだけあって廊下には誰もいない。しかし遠くから吹奏楽部が練習する音や、校庭部活の声が聞こえる。 俺はチラッと氷室の横顔を見る。 サラサラの黒髪が歩くたびに揺れる。少し垂れ目な為顔を甘い印象にしている。しかし俺と違って女顔の、頼りない印象にならないのは何故だろう。氷室はあくまでも男前なイケメンだ。 すると氷室と目が合ってしまう。俺は慌てて目を逸らしたが氷室はニヤリと笑った。 「俺に見惚れてたの?」 「別に、羨ましいなってだけ」 「ふーん?」 「俺ってやっぱり女顔だし、雅樹の筋肉とか見ても思うんだけど男前なのは羨ましい」 俺がそう言うと何故か氷室は蕩けるように笑う。 「蒼井はムキムキになりたいの?」 「なりたい…」 「今のままがいいよ。凄く可愛いから」 なんだそれ。気にしてるんだぞ。 「こんな調子だと、弟くんが来させたくないのもわかるなぁ」 「俺にはわからん」 「それはこの学校のことをよく知らないからだよ」 話しているうちに俺たちはいつのまにか生徒会室に着いていた。
/188ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2411人が本棚に入れています
本棚に追加