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「遊ぶって何すんの」
「そうだなぁ…」
氷室は少し考える仕草をする。
「あ、生徒会室行こう。とりあえず。あそこなら一般生徒入らないし今日は役員も居ないだろうし。二人で遊ぼ?」
「俺なんかが入っちゃだめだろ。怒られるよ」
「俺の紹介だし大丈夫。行こう」
そのまま引きずられるように生徒会室に向かった。休日とだけあって廊下には誰もいない。しかし遠くから吹奏楽部が練習する音や、校庭部活の声が聞こえる。
俺はチラッと氷室の横顔を見る。
サラサラの黒髪が歩くたびに揺れる。少し垂れ目な為顔を甘い印象にしている。しかし俺と違って女顔の、頼りない印象にならないのは何故だろう。氷室はあくまでも男前なイケメンだ。
すると氷室と目が合ってしまう。俺は慌てて目を逸らしたが氷室はニヤリと笑った。
「俺に見惚れてたの?」
「別に、羨ましいなってだけ」
「ふーん?」
「俺ってやっぱり女顔だし、雅樹の筋肉とか見ても思うんだけど男前なのは羨ましい」
俺がそう言うと何故か氷室は蕩けるように笑う。
「蒼井はムキムキになりたいの?」
「なりたい…」
「今のままがいいよ。凄く可愛いから」
なんだそれ。気にしてるんだぞ。
「こんな調子だと、弟くんが来させたくないのもわかるなぁ」
「俺にはわからん」
「それはこの学校のことをよく知らないからだよ」
話しているうちに俺たちはいつのまにか生徒会室に着いていた。
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