自覚

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「悠のマンションの近くに来たから…好奇心で立ち寄ったんだ」 ポツリポツリと話し始める。恥ずかしいけど事情がバレているなら仕方ない。 「そしたら…悠が知らない女とマンションに入っていくのが見えて。友達とか姉妹かと思ったけど、明らかに…なんというか、その」 「イチャイチャしてた?」 「…してた」 俺の発言を聞いて有賀が頭をかいた。 「あのバカ…何やってんだよ」 「え?」 「蒼井のことを大切にしすぎるがあまり、最悪の選択肢を選んだんだよ、あいつは」 「ちょっと話が読めないんだけど」 「本人に言うのはどうかと思ったんだが、この際だから言う。端的に言うとあいつは今まで割と女遊びをしていた。だけどお前にあってからパッタリ止めたんだ」 「で?」 よく分からない。それが今回の件と関係があるのだろうか。 不思議に思っていると、有賀はスマホを取り出した。 「ちょっと手荒だが、まぁ話を合わせろ。なんとかなる」 「は?」 そのまま有賀は電話をかけた。コール音がなる。しばらくして相手が電話に出た。 「おい、お前今何やってんだ。……タイミングが悪いから切る?お前そんなこと言ってる場合かよ」 有賀は電話相手と話しながら、俺をグイッと抱き寄せた。 「お前が今どこの女と遊んでるか知らねぇけどよ、今俺の隣に誰が居ると思う?聞かせてやろうか」 そう言うと有賀は俺の口元にスマホをかざし、俺の脇腹をくすぐった。 「んっ、ふぁっ…や、やめ…」 『え、颯人⁉︎ 今どこに…!』 スマホから聞こえた声は、間違いなく悠の声だった。 有賀が再びスマホで話し出す。 「聞こえたか、蒼井の喘ぎ声。…蒼井なら今、俺の腕の中で可愛く啼いてるよ。もっと聞かせてやろうか、ん?」
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