自覚

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「どうして有賀はそこまで、世話を焼くんだ。だって有賀にとっては…他人事だろ」 俺が呟くと有賀は窓の外を見た。どこか遠くを見つめるような目だった。 「…別に、完全に他人事ではねぇよ」 「悠が絡んでいるからか」 「それもあるが…まあこっちにも色々事情があってな。俺としてはお前らにはさっさとくっついて欲しいんだよ」 「何故」 「それは流石に言えない。…でも、蒼井はどこかあいつに似てるな」 そう言うと有賀はソファーを立った。そのまま窓辺まで歩く。空を見つめるその瞳は、やけに切なさを孕んでいた。 「あいつも頑固で、いじっぱりなんだよ。本当は弱い部分をいっぱい抱えてるくせに、必死に取り繕って他人に弱味を見せようとしない」 「あいつって…」 俺の言葉に有賀は照れ臭そうに笑った。取り繕ってない、素の笑顔だった。 「…かわいい奴なんだよ、本当に。全く手懐けられないんだけどな」 「本当に好きなんだな、その人のこと。ずっと昔から知ってるみたいな口調だ」 「実際昔からあいつのことは知ってる。ガキの頃からずっと好きだ。…たとえ向こうが俺のことを嫌いでもな」 有賀にここまで言わせる人物とは誰なのだろうか。しかも全く靡かないとは、余程の美人なのだろうか。 だがここまで切ない顔をする有賀の顔を見て、いつか想いが叶うといいな、と思った。 リビングが少ししんみりとした空気になった時、突然けたたましくインターフォンが連打された。 「まさか…」 「ああ、お出ましだな」 来客の画面には、必死な形相をした悠が映っていた。
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